



自宅で身内だけの一周忌なら、僧侶を招いて読経してもらうなら準喪服、家族だけで手を合わせるだけなら略喪服(平服)が目安です。
身内だけで自宅で行う一周忌、「そこまで堅苦しくしなくていいよね」と思いつつ、本当に平服でいいのか悩みますよね。
ただし『平服』はジーンズやTシャツのような普段着ではありません。一周忌は故人が亡くなって満1年の法要で、命日当日か、それより前の直近の土日に行うのが一般的です。
本記事では、自宅ならではの足元のマナー、男女・子供別のコーディネート、座る動作や会食時の対応まで、自宅特化で迷いを解消していきます。
僧侶を招いて読経してもらうなら準喪服、家族だけで手を合わせるだけなら略喪服(平服)が目安です。

一周忌は満1年の節目となる大切な法要のため、三回忌までは身内のみでも準喪服が基本、というのが多くのマナー本でも共通する見解です。そのうえで、自宅の場合は「僧侶を招くか招かないか」で現実的な線が変わります。
分かれ目は僧侶を自宅に招くかどうかで、招くなら準喪服、招かないなら略喪服まで下げて構いません。
監修者で1級葬祭ディレクターの千葉龍一によると、自宅に導師(お坊さん)を迎える一周忌では、施主であるご主人が準喪服を着用されることが多いとのことです。「わざわざ自宅まで来ていただく」という意識が働き、きちんとした服装で迎えたいという気持ちが表れます。一方でほかのご家族は、お寺での法要ほど形式をそろえず、略喪服(平服)で参列される方も多く見受けられます。
僧侶を招かず家族だけで手を合わせる場合は、ご主人でもワイシャツやポロシャツにスラックスといった比較的ラフな服装になり、ほかのご家族はさらに普段着に近くなることもあります。
ただし、家族が簡単な服装でいたところへ、声をかけた親族が準喪服で来られ、かえって堅苦しい思いをさせてしまった例もあるそうです。法要後にお墓参りへ向かう前に着替えが必要になり、ほかの方を待たせてしまったこともあります。家族の外へ声をかけるなら、準喪服に寄せておくほうが無難です。
お寺の本堂で行う場合は前提が変わります。そちらは【お寺編】身内だけの一周忌も服装は礼服?家族のみの平服マナーをご覧ください。
法事でいう平服は略喪服を指し、ジーンズやTシャツのような普段着のことではありません。
略喪服は、男性なら黒・濃紺・ダークグレーの地味なスーツに白無地のシャツ、女性なら同じく暗い色のワンピースやアンサンブル、パンツスーツを指します。
ジーンズ、Tシャツ、スウェット、サンダルは、身内だけの自宅であっても避けてください。写真に残ることもありますし、玄関先で僧侶や近所の方と顔を合わせる場面もあります。
施主は準喪服、参列者は準喪服から略喪服までにとどめ、施主より格を上げないのが基本です。
喪服には正喪服・準喪服・略喪服の3つの格があり、施主だけが参列者より一段上、という関係を崩さないのが原則です。
ただし身内だけの自宅法要で、施主がモーニングなどの正喪服を着るのはかえって不自然です。自宅で行う一周忌の上限は準喪服と考えて差し支えありません。
黒・濃紺・ダークグレーの暗い色のスーツかワンピースなら、周囲から浮くことはまずありません。
千葉によると、施主から親族へ服装を指定して案内することは実際にはほとんどなく、特に伝えなくても皆さん礼服や準喪服で来られるのが一般的です。むしろ「平服でお越しください」と案内すると、どこまで崩してよいかの判断が人によって分かれ、かえって混乱することがあります。
参列する側から「どこまでくだけてよいか」と尋ねられたときは、黒や濃紺、ダークグレーなど暗い色のスーツであれば周囲から浮くことはない、と案内しているそうです。
なお、会場まで普段着で来て到着後に着替える方もいますが、自宅の法要では着替える場所がないこともあります。最初から法要に適した服装で向かうほうが安心です。
男性はブラックスーツ、女性は黒のワンピースかアンサンブル、子供は制服が基本の装いになります。

光沢のない黒のスーツに白無地のシャツ、黒無地のネクタイと黒革の靴を合わせます。
| 項目 | 準喪服の場合 | 平服(略喪服)の場合 |
| スーツ | 光沢のないブラックスーツ | ダークグレーや濃紺のスーツ(無地または目立たないストライプ) |
| シャツ | 白無地のレギュラーカラー | 白無地のレギュラーカラー |
| ネクタイ・小物 | 黒無地(ディンプル禁止)・黒革ベルト | 黒・ダークグレー・濃紺の無地・ベルトも黒で統一 |
ネクタイピンは着けないのが基本です。腕時計も、文字盤が大きく光るものは外しておくと落ち着いて見えます。
黒のワンピースかアンサンブル、パンツスタイルも可で、ストッキングは黒の30デニール以下が基本です。
| 項目 | 内容 |
| 服装 | 黒・紺・グレーの地味色ワンピース/アンサンブル/スーツ/パンツスタイル |
| スカート丈 | 正座で膝が隠れるふくらはぎ丈。座る動作を想定して選ぶ |
| 袖丈 | 五分袖〜長袖。ノースリーブは上に羽織るものを合わせる |
| ストッキング | 黒の30デニール以下が基本。寒い時期・妊娠中・高齢の方は厚手も可 |
| デザイン | 透ける素材・胸元の大きな開き・過度なフリルやリボンは避ける |
| アクセサリー | つけるなら一連のパールのネックレスやイヤリングのみ |
自宅で一周忌を行う場合は、配膳や片づけで立ち動く場面が出てきます。動きやすさも一緒に見ておくと当日が楽になります。
制服があれば制服が正装、なければ白シャツに黒や紺のズボン、暗い色のワンピースで整えます。
| 年齢層 | おすすめの服装 |
| 中高生 | 学校指定の制服があればそれが正装(着崩しは厳禁) |
| 小学生以下 | 男の子は白シャツ+黒・紺のズボン/女の子は暗色のワンピース+白ブラウス |
| 赤ちゃん・未就学児 | 派手な色やキャラクターもの・音の鳴る靴は避ける |
子供の靴下も、自宅では脱いだ足元が見えます。白か黒の無地を選んでおくと安心です。
体調と動きやすさを優先してよく、黒のマタニティワンピースや厚手のタイツも許容されます。
妊娠中の方は、締めつけの少ない黒のワンピースにフラットな靴を合わせれば十分です。長時間の正座は避け、椅子を用意してもらってください。
ご高齢の家族や車椅子を使う方も、脱ぎ着しやすさを優先します。膝掛けは黒や濃紺の無地であれば、そのまま使って差し支えありません。
靴を脱ぐこと、畳や座布団に座ることの2つが、自宅の法要でとくに気をつけたい点です。

自宅では靴を脱ぐため、黒無地の靴下と黒のストッキングを穴・伝線なしで用意します。
外の会場なら見られずに済んだ足元が、自宅では法要中ずっと視線に入ります。男性は黒無地の靴下を、穴が空いていないか、かかとが薄くなっていないか、出発前に確認してください。
毛玉やにおいも同じです。長くしまっていた靴下は、当日の朝に一度手に取って状態を見ておきます。女性は予備のストッキングをカバンに入れておくと、伝線しても慌てずに済みます。
正座は無理に続けず、椅子や足を崩す姿勢に切り替えるのが自宅の法要では現実的です。
千葉によると、導師から「足は崩してよいですよ」と声をかけていただくことは多いものの、それを聞きそびれた方が無理に正座を続け、立ち上がれなくなったという話があるそうです。服のシワについては、一度着たらクリーニングに出すつもりでいる方が多く、座りジワが問題になったという話はあまり聞かないとのことでした。
スリッパは施主側が自宅にある分だけ用意することが多く、座敷では脱ぎます。洋間はスリッパのまま進み、焼香の場所が座布団なら手前で脱ぎ、立ったまま焼香する形式なら履いたままで構いません。
ご高齢の方など正座が難しい場合は、周囲や後方に椅子を置いて座っていただくのが実際の対応です。座布団を二つ折りにしてお尻の下に敷き、足への負担を軽くする方も見受けられます。無理に正座を続けず、体調や足腰の状態に合わせて座り方を調整してください。
女性は正座で膝が隠れるふくらはぎ丈のスカートを、男性はタイトすぎないパンツを選んでおくと、立ち座りが続いても楽です。
ファーや型押しの革、二連のネックレスなど、殺生や不幸の連鎖を連想させるものは避けます。
ファー、ヘビ・ワニの型押し素材、スエードは法要の場にそぐいません。派手なネイルやメイク、光沢のある時計も外しておきます。
アクセサリーは結婚指輪と一連のパールのみが基本です。二連のネックレスは「不幸が重なる」と受け取られます。髪はまとめておくと、焼香のときに顔にかからず所作がきれいに見えます。
夏は読経中だけ上着を着て、それ以外は脱いで構いません。冬の防寒は室内に入る前に外します。
読経と焼香の間はジャケットを着用し、準備中や会食のときは脱いで構いません。
千葉によると、読経中は上着を脱ぎ、祭壇の前に出るときだけ着用する方も多く見受けられるそうです。上着の脱ぎ着や防寒はその場の案内に従って調整してよく、体調を崩してまで我慢する必要はありません。
自宅の場合は、施主が冷暖房を用意する側になります。仏間は普段あまり使わないこともあるので、当日の朝から冷房を入れて温度を整えておくと、参列者が上着を着たままでも過ごせます。
ご高齢の方は暑さを感じにくく、法要中は大丈夫そうに見えても帰る頃に体調を崩すことがあります。無理をさせない声かけも施主の役目です。
コートは玄関に入る前に脱ぎ、黒無地のインナーや薄手の防寒具で室内の寒さを調整します。
コートの色は黒・濃紺・ダークグレーが無難です。毛皮やファーの襟は外してから伺ってください。
自宅の和室は足元が冷えます。女性は厚手のタイツに替えても構いませんし、男性はインナーで調整します。膝掛けを用意しておくと、高齢の参列者に喜ばれます。
レンタル、量販店の黒い服でそろえる、家族から借りるの3つで当日は乗り切れます。
3泊4日で4,000〜8,000円程度が業界一般の目安で、自宅へ届いて宅配で返せるものが多いです。
買い直すより費用を抑えられ、サイズも当日の体型に合わせて選べます。急なサイズ変更や、久しぶりの喪服が入らない場合はレンタルが手堅い選択です。
一周忌は日取りが前もって決まるため、1〜2週間前に手配しておけば余裕を持って受け取れます。
身内だけの自宅の法要なら、黒や濃紺の落ち着いた服でそろえれば大きな問題にはなりません。
千葉によると、自宅で身内だけの法要に限れば、相当ラフな格好でなければご家族もそれほど気にされないとのことです。実際、ご家族自身が略喪服よりも普段着に近い服装で過ごしている場合もあります。
そのため、黒や濃紺など落ち着いた色を選び、派手な色柄や極端にカジュアルな服装を避けていれば、大きな問題にはなりにくいという判断です。礼服ではない黒いジャケットやパンツでも、全体として落ち着いた印象であれば十分に対応できます。
ただし社会人になれば葬儀や法要で喪服を着る機会は今後もあるため、持っていないなら一着用意しておくことをすすめている、とのことでした。急に必要になったときは、手持ちの落ち着いた服装かレンタルで対応する方法もあります。
そろえるなら、黒無地の靴下、黒のストッキング、地味な色のネクタイの3点を先に押さえておくと、全体が締まって見えます。
体型が近い家族の喪服を借りるのは現実的ですが、サイズが合わないなら無理に着ません。
肩幅や着丈が合わない喪服は、座ったときに前が開いたり、袖が余ったりして目立ちます。借りるなら前日までに一度着てみてください。
買い足す場合は、一周忌の後も三回忌・七回忌と使う前提で選びます。数珠だけは貸し借りをしないものなので、自分のものを用意します。
儀式の間はジャケットを着用し、配膳で動くときは脱いで地味な色のエプロンを着けます。

自宅で僧侶や親族に食事を振る舞う場合、施主や家族が配膳で動く場面が出てきます。一周忌法要を自宅で行うときの服装は、儀式中と会食中で切り替えるのがコツです。
会食では最初のあいさつが終わると上着を脱ぐ方が多く、読経中よりも形式を気にせず体調に合わせて調整して構いません。エプロンは黒や濃紺など地味な色を選びます。
会食を仕出しに頼む家庭も増えています。その場合は施主が頻繁に立ち動く必要がないので、終始ジャケットのままで問題ありません。
数珠・袱紗・お布施または香典・無地のハンカチの4点があれば、当日は足ります。
| 持ち物 | 注意点 |
| 数珠 | 貸し借りはしない。必ず自分のものを用意する |
| 袱紗 | 紫・紺・グレーなど寒色系 |
| お布施または香典 | 施主はお布施、参列者は香典。表書きと渡し方は別記事で解説 |
| ハンカチ | 黒または白の無地。光沢のあるものは避ける |
| 予備のストッキング | 女性は伝線に備えて1足。自宅は足元が見える |
お布施の包み方や渡し方は一周忌のお布施|袋の書き方・お札の向き・渡し方を、香典の書き方は一周忌の香典は薄墨?濃墨?をご覧ください。
A. 僧侶を招いて読経してもらうなら準喪服が基本です。家族だけで手を合わせるだけなら、略喪服(平服)まで下げて構いません。
A. 黒・濃紺・ダークグレーの暗い色のスーツかワンピースを選べば浮きません。ジーンズやTシャツは平服には含まれません。
A. 施主側が自宅にある分だけ用意するのが一般的です。座敷では脱ぎ、洋間ではそのまま進んで構いません。
A. 読経と焼香の間は着用するのが正式です。準備中や会食では脱いで構わず、体調を崩してまで我慢する必要はありません。
A. レンタルなら3泊4日で4,000〜8,000円程度が目安です。身内だけの自宅の法要であれば、手持ちの黒や濃紺の服でも対応できます。
A. 亡くなってから満1年の命日が正式です。参列者の都合に合わせ、命日より前の直近の土日に行うのが一般的です。
僧侶を招くなら準喪服、招かないなら略喪服。足元と座り方を押さえれば迷いません。
装いが決まると、当日の所作にも落ち着きが出ます。ご自身が迷わない一着を選んで、心穏やかに故人を偲ぶ一日にしてください。
※宗派・地域により異なります。迷ったときは菩提寺やご親族にご確認ください。