



喪主とは、遺族を代表して葬儀を執り行う人のことです。誰が務めるかを定めた法律はなく、配偶者や子が務めるのが慣習ですが、姓が変わっていても務められますし、複数人で分担しても構いません。役割は葬儀社との打ち合わせ、寺院や参列者への対応、当日の挨拶の3つが柱になります。
この記事でわかること
いま決めなければならない状況の方へ
喪主とは、遺族の代表として葬儀を執り行い、葬儀社・寺院・参列者への窓口になる人のことです。
呼び方としては「葬儀の責任者」と説明されることが多いのですが、実際にしていることは責任を負うというより、決めごとの窓口を1人にまとめることです。葬儀は逝去からわずか数日のあいだに、形式・日程・式場・参列者の範囲・予算といった判断が続けて発生します。家族それぞれが別々に葬儀社へ連絡すると話が食い違うため、代表を1人立てて、その人を通して決めていく形になっています。
喪主の役割は、葬儀社や寺院との連絡窓口になることと、遺族を代表して参列者に挨拶することの2つです。
窓口としての役割は、逝去直後から始まります。搬送先を決め、葬儀社と打ち合わせをし、菩提寺へ連絡し、日程を確定させるまでが前半です。代表としての役割は、当日に集中します。参列者の受付を任せる人を決め、僧侶を迎え、最初に焼香し、式のあとに挨拶をします。この2つ以外の作業、たとえば受付、会計、返礼品の管理、親族への連絡は、喪主が全部を抱える必要はありません。
喪主は遺族の代表、施主は葬儀費用を負担する人です。家族葬では同じ人が兼ねるのが一般的です。
もともとは、葬儀を主宰する喪主と、費用を出して式を支える施主が分かれている形が想定されていました。近年は家族葬のように規模の小さい葬儀が中心になり、喪主が費用も負担することが多くなっています。ただし分けてはいけないという決まりはなく、たとえば高齢の配偶者を喪主とし、費用は子が施主として負担する形も成り立ちます。次の表で違いを整理します。
| 項目 | 喪主 | 施主 |
|---|---|---|
| 立場 | 遺族の代表 | 葬儀費用を負担する人 |
| 主な仕事 | 葬儀社・寺院との打ち合わせ、参列者への挨拶 | 費用の支払い、支払い方法の決定 |
| 会葬礼状・案内の名義 | 喪主の名前を出すのが一般的 | 表に出さないことが多い |
| 人数 | 1人が一般的だが複数でもよい | 1人が一般的 |
| 兼任 | 家族葬では喪主が施主を兼ねるのが一般的 | |
表のとおり、外に出る名義が喪主、お金を出すのが施主という切り分けです。どちらか一方だけを引き受けることもできるので、体力や資金の事情で分けたいときは、打ち合わせの最初に葬儀社へ伝えておくと書類の名義も揃えられます。
Q. 喪主と施主は何が違いますか。
A. 喪主は遺族を代表して葬儀を執り行う人、施主は葬儀費用を負担する人です。もともとは分かれている役割ですが、家族葬が中心になった現在は同じ人が兼ねることが多くなっています。分けたい場合は、会葬礼状や請求書の名義をどちらにするかを打ち合わせの段階で決めておくと、あとの手続きが楽になります。
喪主の選び方を定めた法律はありません。誰が務めるかは、遺族の話し合いで決めて構いません。
順位表を先に見てしまうと「自分は順番ではないのに引き受けていいのか」と迷いますが、順位に法的な根拠はありません。まず決まりがないことを確認したうえで、慣習を参考にする、という順番で読み進めてください。決め方の流れは次のとおりです。
この5番目を飛ばすと、あとから遠方の親族に「勝手に決められた」と言われる原因になります。連絡が付く範囲でよいので、決定の前に一言入れておくことをおすすめします。
喪主を定めた条文はありません。民法が定めているのは祭祀主宰者で、喪主とは別の概念です。
民法第897条は「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従つて祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従つて祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する」と定めています。ここでいう祭祀主宰者とは、位牌・仏壇・お墓を引き継ぐ人のことで、葬儀の代表者とは別のものです。慣習がはっきりしないときは家庭裁判所が定める、とも書かれています。
つまり、法律が定めているのは葬儀のあとに残る祭祀財産の引き継ぎであって、葬儀そのものの代表者ではありません。誰が喪主になるべきかを決めた法律は存在せず、順位も資格も義務も条文にはありません。だからといって誰でも名乗り出てよいという意味ではなく、遺族が話し合って決めるものだと理解してください。
慣習では配偶者が第一、いなければ子、次に親、兄弟姉妹の順です。法的な拘束力はありません。
かつては家督を継ぐ長男が務めるものとされていましたが、現在は故人と最も近しい関係にあった配偶者が務めるのが一般的です。配偶者が高齢であったり、体調が優れなかったりする場合は子が務めます。子が複数いる場合、長男が務めるのが慣習ですが、遠方に住んでいる、仕事の都合がつかないといった事情があれば、ほかのきょうだいが務めても差し支えありません。
なお、喪主を務めた人の続柄について、全国規模の統計は見当たりませんでした。この順序はあくまで慣習として広く共有されているものであり、地域や家によって実際の運用は異なります。
姓が変わっていても喪主は務められます。姓や戸籍を条件にする決まりは存在しません。
「嫁いだ娘だから資格がないのではないか」「苗字が違うのに喪主でよいのか」という迷いはよく聞かれますが、根拠になる規定はありません。結婚して別の戸籍に入っていても、故人の子であることに変わりはなく、喪主を務めることに支障はありません。同じ理由で、内縁の配偶者や、故人と長く生活をともにしていた方が務めることも可能です。
気をつけたいのは、法的な問題ではなく親族の受け止め方のほうです。姓が違う人が喪主になると、事情を知らない参列者が誰の葬儀か分かりにくくなることがあります。会葬礼状や案内に「長女」「次女」といった続柄を添えておくと、この行き違いは防げます。
高齢の配偶者を喪主とし、打ち合わせや当日の対応は子が担う形にしても問題ありません。
喪主は1人でなければならないという規定も、喪主が全部を自分でやらなければならないという規定もありません。実際に多いのは、名義としては配偶者を喪主に立て、葬儀社との打ち合わせ、寺院への連絡、当日の進行の確認は子が引き受けるという分担です。挨拶についても、体調や心情の問題で難しければ、ほかの遺族が代読しても構いません。
分担するときは、打ち合わせの最初に「連絡はこの人に、書類の署名は喪主本人に」といった形で葬儀社へ伝えておいてください。連絡先が二重になると、日程や見積もりの話が食い違います。
Q. 喪主は必ず1人でなければいけませんか。
A. 1人でなければならないという決まりはありません。きょうだいが2人で共同の喪主として名前を並べることもできます。ただし連絡窓口が2つになると打ち合わせが混乱するため、名義は複数でも、葬儀社とやり取りする担当は1人に決めておくことをおすすめします。
Q. 喪主が高齢で当日の対応が難しいときはどうすればよいですか。
A. 名義上の喪主は本人のままにして、打ち合わせや当日の進行はほかの家族が担当して構いません。挨拶も代読が可能です。葬儀社には、誰が連絡窓口で、誰が書類に署名するのかを最初に伝えておいてください。未成年の方が喪主になる場合も同じ考え方で、保護者や親族が実務を担います。
続柄で決まらないときは、葬儀社と連絡が取れて当日その場にいられる人を選ぶと実務が回ります。
きょうだいの間で引き受け手が決まらない、遠方の長男と連絡がつかないといった状況は珍しくありません。この場合、続柄の正しさを議論しても葬儀の日程は動かないため、判断の軸を「誰が動けるか」に切り替えるほうが早く進みます。目安は次の3つです。逝去当日から数日間、葬儀社と連絡が取れること。菩提寺との日程調整に対応できること。当日、開式前から式場にいられること。
そのうえで、決める前にほかの親族へ「自分が窓口になります」と伝えておいてください。連絡が付かない親族がいる場合も、伝えようとした事実を残しておくと、あとで「勝手に進められた」という不信につながりにくくなります。家族構成別の目安は次の表のとおりです。
| 家族構成 | 喪主になることが多い人 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 配偶者が健在 | 配偶者 | 高齢の場合は名義だけ配偶者にして、実務は子が担う |
| 配偶者が他界、子が複数 | 同居していた子、または近くに住む子 | 長男に固定しない。決める前にきょうだい全員へ伝える |
| 子が全員遠方 | 日程を調整して来られる子 | 菩提寺と葬儀社への連絡役を先に1人決める |
| 子がいない | 故人の親、または兄弟姉妹 | 高齢の場合は甥・姪が実務を担う形にする |
| 近い親族がいない | 内縁の配偶者、親しい友人・知人 | 費用の負担と支払い方法を先に決めておく |
いずれの場合も、決めたあとで役割を動かして構いません。打ち合わせの途中で「この人のほうが動ける」と分かったら、その時点で葬儀社へ伝えれば書類の名義も直せます。
喪主の仕事は、搬送先と葬儀社の決定、訃報の連絡、打ち合わせ、寺院への連絡の順に進みます。
葬儀の準備は逝去から数日で終わるため、順番を間違えると手戻りが出ます。特に多いのが、日程を決めてから菩提寺に連絡して組み直しになるケースです。全体の流れを先に押さえておいてください。
式場の空きと日程を先に知りたい方へ
最初に決めるのは搬送先と葬儀社です。訃報は同居の家族、近親者、勤務先の順に伝えます。
病院で亡くなった場合、遺体を長く預かってもらうことはできません。数時間のうちに搬送先を決める必要があり、ここで葬儀社が決まることになります。自宅へ帰すか、葬儀社の安置施設に預けるかは、住まいの事情と日程で判断します。火葬までの日数が空くほど安置の費用が積み上がるため、決めた段階で日数の見込みを聞いておいてください。
訃報の連絡は、範囲を先に決めてから始めます。家族葬にするのか、勤務先や近隣にも知らせるのかで、伝える相手も伝え方も変わります。範囲が決まらないうちに個別に連絡してしまうと、あとから「なぜ自分には知らせなかったのか」という行き違いが起こります。葬儀全体の進み方はお葬式の流れと手順でも解説しています。
葬儀の形式、日程、式場、参列者の範囲、予算の5つを最初の打ち合わせで決めます。
形式は一般葬・家族葬・一日葬・直葬から選びます。日程は火葬場の空き枠で決まるため、希望どおりにならないことがあります。式場は参列者の人数で選び、参列者の範囲は訃報を出す相手と直結します。予算は総額でいくらまでかを先に伝えておくと、見積もりの相談がしやすくなります。
鎌倉新書が2026年に実施した「第7回 お葬式に関する全国調査」(有効回答2,000件)では、喪主の63.8%が事前の準備をしていなかったと回答し、87.1%が相見積もりを取らずに葬儀社を決めていました。準備なしで臨む人のほうが多いということなので、その場で分からないことは分からないと伝えて構いません。費用の目安は葬儀費用の相場と内訳にまとめています。
菩提寺への連絡は日程を決める前に行います。後回しにすると日程を組み直すことになります。
先祖代々のお墓がある寺院を菩提寺といいます。読経をお願いするのは菩提寺であり、僧侶の都合が合わなければ通夜も葬儀もその日には行えません。式場と火葬場だけを先に押さえて連絡すると、日程を白紙に戻すことになります。
同じ調査で、喪主が最も困った事項は「お布施の相場・マナーがわからない」ことでした。金額は宗派・地域・寺院との関係で幅があるため、目安を知りたいときは葬儀社に「この地域ではどのくらいをお包みすることが多いか」と聞くのが実務的です。寺院へ直接尋ねる場合も、失礼にはあたりません。
死亡届の届出人は喪主に限りません。実務では喪主が署名し、葬儀社が役所へ提出します。
戸籍法第86条は、死亡の届出を「死亡の事実を知つた日から七日以内」に行うと定めています。届出義務者は第87条で「第一 同居の親族/第二 その他の同居者/第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人」の順とされていますが、同条には「順序にかかわらず届出をすることができる」とも書かれています。さらに第2項で、同居していない親族や後見人なども届出ができると定められています。
つまり、別居している子が届出人として署名することも適法です。喪主だから署名しなければならないわけでも、同居していなければ署名できないわけでもありません。実務上は、届出人欄に喪主が署名し、書類を葬儀社が役所へ持って行って火葬許可証を受け取る流れが一般的です。署名を求められたら断る理由はないので、そのまま応じて構いません。
通夜と告別式では喪主の動きが違います。共通するのは最初に焼香することと、参列者への挨拶です。
どちらの日も、喪主は遺族席の最前列に座り、僧侶を迎え、参列者に頭を下げる立場になります。式の進行そのものは司会が行うので、喪主が段取りを覚えておく必要はありません。当日は葬儀社の担当者が横に付き、次の動きを都度伝えてくれます。
通夜の日は開式前に集合し、受付の確認、僧侶の出迎え、通夜のあとの挨拶までを担います。
集合してから開式までの間に、受付を誰に任せるか、香典をどう保管するか、返礼品の数は足りているかを確認します。僧侶が到着したら控室へ案内し、挨拶をします。式が始まったら最初に焼香し、閉式後に参列者へ短く挨拶をします。
通夜のあとの食事について、関西では遺族・親族だけで行うことが多く、一般の参列者には粗供養品を渡して見送る形が主流です。関東の記事にある通夜振る舞いをそのまま前提にすると、料理の数も所要時間も読み違えます。当日の時間の目安は葬儀にかかる時間で解説しています。
告別式の日は弔電の確認、位牌を持っての出棺、火葬場への同行、精進落としの挨拶を担います。
朝のうちに、届いた弔電のうちどれを読み上げるか、順番をどうするかを司会と決めます。式が終わると出棺で、喪主が位牌を持ち、ほかの遺族が遺影を持って霊柩車へ向かいます。ここで参列者に向けた挨拶をするのが一般的です。
火葬場へは喪主も同行し、収骨に立ち会います。式場へ戻ったあとの繰り上げ初七日と精進落としでも、始まりと終わりに挨拶をします。告別式そのものの流れとマナーは告別式の流れとマナーにまとめています。
挨拶の場面は通夜のあと、出棺時、精進落としなど最大4回です。省略も代読もできます。
内容はどの場面でも同じ骨組みで組み立てられます。参列への御礼、故人が生前に受けた厚情への感謝、遺族への支援のお願いの3つです。この順に1文ずつ並べるだけで形になり、時間としては2分から3分で足ります。原稿を見ながら話しても失礼にはあたりません。
言葉が出なくなる、途中で続けられないという状況は珍しくありません。家族葬であれば挨拶を省略して司会に締めてもらう形も一般的ですし、ほかの遺族が代読しても構いません。場面ごとの言い回しは家族葬の喪主挨拶の例文に用意しています。
葬儀費用を負担するのは施主で、喪主と同じ人である必要はありません。香典は葬儀費用に充てます。
第7回の全国調査では、葬儀費用の総額は平均96.73万円でした。形式別では一般葬122.01万円、家族葬96.39万円、一日葬74.43万円、直葬・火葬式49.56万円です。内訳と抑え方は葬儀費用の相場と内訳で扱っているので、ここでは「誰が払い、誰が受け取るのか」に絞ります。
香典は喪主が受け取りますが、葬儀費用に充てるのが前提です。収支は親族へ開示しておきます。
香典は喪主に対して贈られるものとして扱われるのが一般的な理解です。ただし、これは喪主が自由に使ってよいという意味ではありません。香典は葬儀の費用を賄うための互助として渡されるものなので、まず葬儀費用に充て、残りが出た場合の扱いを家族で相談する、という順序になります。
ここを曖昧にしたまま進めると、あとから「費用は故人の預貯金から出したのに、香典は喪主が独り占めした」という不信につながります。金額の一覧まで作る必要はありませんが、香典の合計額と葬儀にかかった総額の2つだけでも、四十九日までに親族へ伝えておくことをおすすめします。香典を辞退する場合の伝え方は香典辞退の伝え方と例文にまとめています。
国保の葬祭費は葬祭を行った方、健康保険の埋葬料は生計を維持されていた方が受け取ります。
「喪主だから給付を受け取れる」と説明されることがありますが、正確ではありません。制度ごとに受け取る人の定義が違い、そのどちらも「喪主であること」を条件にしていないからです。大阪市の国民健康保険では、被保険者が亡くなったとき、葬祭を行った方に葬祭費として5万円が支給されます。申請には、申請者の名前が記載された埋・火葬許可証か葬祭費用の領収書が必要です。
つまり、喪主と施主が別の人で、領収書の宛名が施主になっている場合、申請するのは施主です。喪主の名前で申請したいなら、支払いと領収書の名義を喪主に揃えておく必要があります。打ち合わせの段階で決めておけば、あとで書き直しを頼まずに済みます。
| 項目 | 葬祭費(国民健康保険・後期高齢者医療) | 埋葬料・埋葬費(健康保険) |
|---|---|---|
| 受け取れる人 | 葬祭を行った方 | 被保険者に生計を維持されていた方。いない場合は実際に埋葬を行った方 |
| 金額 | 大阪市の国民健康保険は5万円(自治体で異なる) | 埋葬料5万円。埋葬費は実費で上限5万円 |
| 喪主であることが条件か | 条件ではない | 条件ではない |
| 主な必要書類 | 申請者名の記載された埋・火葬許可証または葬祭費用の領収書 | 埋葬に要した費用の領収書など(埋葬費の場合) |
| 申請期限 | 2年以内 | 死亡した日の翌日から2年 |
表のとおり、どちらも「実際に葬儀を行い、費用を払った人」を見る制度です。喪主かどうかではなく、領収書に誰の名前が入っているかで決まると考えてください。
費用の見通しを立ててから決めたい方へ
葬儀後は寺院へのお礼、香典返し、四十九日の手配が続きます。名義変更は喪主の役目ではありません。
公共料金や不動産の名義変更、相続の手続きは、喪主だから行うものではなく、相続人が行うものです。喪主を務めた人がそのまま担当することは多いのですが、役割としては別物なので、負担が大きければほかの相続人と分担して構いません。
金融機関が死亡を知ると口座は凍結されますが、葬儀費用のために単独で払い戻せる制度があります。
口座が凍結されると、引き落としも止まります。電気・ガス・水道が故人の口座から落ちている場合、そのままにしておくと供給が止まることがあるため、名義変更か支払い方法の切り替えを先に済ませてください。
葬儀費用の工面に困る場合は、民法第909条の2の払戻し制度が使えます。条文は「各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に……相続分を乗じた額(……法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる」と定めています。法務省令で定める限度額は、同一の金融機関につき150万円です。遺産分割が終わっていなくても、この範囲であれば1人で払い戻しを受けられます。必要書類は金融機関ごとに異なるため、窓口で確認してください。
四十九日法要の日程調整と、納骨をいつにするかを決めるところまでが慣習上の喪主の役割です。
四十九日は忌明けの区切りで、親族が集まる機会になります。寺院と会場の予約が必要なので、葬儀が終わってすぐに動き始めるほうが余裕を持てます。命日から数えて49日目より前の土日にずらすのが一般的です。
納骨を四十九日に合わせるかどうかは、お墓の準備状況で変わります。時期に法的な期限はないので、急ぐ必要はありません。初七日の意味とやり方と納骨の時期もあわせてご覧ください。
Q. 死亡届は喪主が出さなければいけませんか。
A. 喪主が出さなければならないという決まりはありません。戸籍法では同居の親族が第一順位の届出義務者とされていますが、同居していない親族も届出ができると定められています。実務では、喪主が届出人欄に署名し、葬儀社が役所へ提出して火葬許可証を受け取る流れが一般的です。期限は死亡の事実を知った日から7日以内です。
Q. 葬儀費用は喪主が全額負担するのですか。
A. 喪主が全額を負担しなければならない決まりはありません。費用を負担するのは施主で、喪主と別の人でも構いませんし、きょうだいで分担することもできます。故人の預貯金から支払う場合は、遺産分割前の払戻し制度が使えます。誰がどう負担するかは、見積もりが出た段階で家族に共有しておくと、あとの相続の話し合いが楽になります。
Q. 喪主を引き受ける人が誰もいない場合はどうなりますか。
A. 親族の誰も引き受けない、あるいは身寄りがない場合、墓地埋葬法第9条により、死亡地の市町村長が火葬を行うことになります。ただしこの場合、葬儀は行われず火葬のみとなり、遺骨の扱いも自治体の判断になります。引き受け手が決まらないまま日が経つと安置の費用も積み上がるため、迷っている段階で葬儀社に相談してください。
Q. 喪主は誰が決めるのですか。
A. 遺族が話し合って決めます。故人が生前に指名していればその意向を尊重しますが、法的な拘束力はありません。決まらないときは、葬儀社と連絡が取れて当日その場にいられる人を選ぶと実務が進みます。決めたあとで役割を動かすこともできるので、まず1人を窓口に立ててから調整してください。
喪主を誰にするか、何から手を付けるかは、短い時間で決めなければならないことばかりです。
喪主が決まっていない段階でも、搬送と安置の手配は先に進められます。決めてから連絡するのではなく、連絡してから決めても間に合います。
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